今年度はまず、黒色腫切除標本を用い、テネイシンCとテネイシンCを転写レベルで調節している転写因子Flilの抗体で免疫組織染色を行った。その結果、多くの黒色腫細胞、黒色腫周囲の線維芽細胞にテネイシンCとFlilの発現がみられることを明らかにした。今後、定量的PCR法(real time PCR)によりテネイシンCとFlilの発現量を定量し転移の有無との相関を検討する予定である。そのために現在、黒色腫凍結標本より抽出したRNAを用いてcDNAを作製中である。 また、TGFβによるテネイシンCの発現を正常培養メラノサイト、黒色腫切除標本より作成したメラノーマ培養細胞、メラノーマ培養株を用いて比較検討した。正常培養メラノサイトはテネイシンCの発現がメラノーマ培養株に比べて少なかった。両細胞ともTGFβによりテネイシンCの発現が増加した。黒色腫切除標本より作成したメラノーマ培養細胞は現在検討中である。また、今後IFNγ、IL4、CTGFなどのサイトカインも使用する予定である。 最後に、黒色腫細胞におけるテネイシンCプロモーター領域の変異の有無の検討は当初PCRを用いたダイレクトシークエンス法で行う予定であったが、領域が大きすぎるため、現在、two dimensional gene scanning法での解析を検討中である。
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