研究概要 |
B16移植生体におけるキラーT細胞の誘導法としては、1)角質層破壊皮膚へのTRP-2メラノーマ抗原ペプチド塗布法と2)TRP-2ペプチドパルス培養樹状細胞の生体内移入法を用いた。抑制性細胞除去法としては、抗TCRγδ抗体,抗CD4抗体または抗CD25抗体のダウノマイシン(Dau)結合物を静脈に投与する方法を用い、コントロールとしてアイソタイプ抗体とCD45RB特異的な抗体を用いた。まずB16細胞移植後7日目のメラノーマ担がんマウスに上記1)2)の方法で、TRP-2ペプチドを用いて治療実験を行った結果、1)の方法では約50%のマウスで腫瘍増殖の低下が観察されるが、34日後には全マウス死亡した。また2)の方法ではほぼ100%のマウスで腫瘍増殖を抑制できたが、40日後には全マウスが死亡した。そこでB16細胞移植7日目のマウスからDau-TCRγδ抗体,-CD4抗体または-CD25抗体を用いそれぞれに特異的な細胞を除去し、その後の腫瘍径を経時的に計測した。結果、3種どのケースでも腫瘍増殖が顕著に抑制され、γδT細胞除去マウスでは8%,CD4除去マウスでは0%,CD25除去マウスでは45%のマウスでB16腫瘍は退縮した。Dau-アイソタイプ抗体投与マウスでは腫瘍の増殖はTRP-2免疫しただけのマウスでのB16増殖とほぼ同程度であり、CD45RB陽性細胞除去マウスでの腫瘍増殖はTRP-2免疫操作無しのコントロールマウスでの腫瘍増殖よりも早く、B16細胞を移植して25日目でほぼ全マウスが死亡した。以上の結果は、腫瘍免疫治療法では抗腫瘍免疫反応の増強に加え、抑制性細胞を除去することが重要であることを示している。
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