MAPキナーゼカスケードは、細胞成長因子などの細胞外刺激を細胞内に伝達する重要なシグナル伝達経路であり、MAPキナーゼとして、最近、BMK1の存在が明らかとなった。今回の研究は表皮ケラチノサイトのEGFファミリーautocrine機構におけるBMK1の役割を明らかにすることを目的とし、平成12年度は以下の実験を行った。 Dominant negative効果を持つアデノウイルスベクターの作成:BMK1に対してdominant negative効果を持つcDNAをPCR法を用いて作成した。各々のcDNAをプラスミドに導入し、E.coliにtransfectさせ大量に培養・精製した。これをコスミドカセットに組み込み、Eco T221制限酵素にてE1部を切断したアデノウィルスベクターDNA-TPCとともに293細胞にco-transfectした。数日間培養し、homologous recombinationにより、dominant negative BMK1が組み込まれたアデノウィルスベクターを作成・分離した。さらに、アデノウィルスベクターを293細胞に感染させ、大量培養を行い、293細胞を回収し、超音波処理にて破砕後、塩化セシウム密度勾配法にてウィルスを精製、濃縮を行った上で、PBSに透析し、得られたウィルス液は力価検定を行った後、分注し超低温槽にて保存した。EGF familyのmRNAを一度に解析可能とする目的で、RNase protection assay用のプローブを作製した。EGF family memberのcDNAより各々特異的な配列部分を15-30base pairずつずらしてPCRにて作製しプラスミドに導入した。各々精製し、RNase protection assayを行い、すべてのプローブが良好にハイブリダイズすることを確認した。
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