1、インヒビターを用いた培養毛乳頭細胞における5α-リダクターゼ活性アイソエンザイムの検討。 男性型脱毛症患者の脱毛部及び非脱毛部より単離した毛乳頭細胞及び結合織毛包細胞(それぞれ3検体)を10%FCSを含むDMEMにて2日間培養後、subconfluentに達した段階で、^3Hでラベルしたテストステロンとインキュベートし、その代謝産物を抽出、5α-リダクターゼ活性を測定した。また、その活性に対するtype1及びtype2インヒビターの影響を検討した。その結果、いずれの細胞に於ても5α-リダクターゼ活性はtype1インヒビターにより濃度依存性に抑制されたのに対して、type2インヒビターによっては殆ど抑制されなかった。よって男性型脱毛症毛乳頭及び結合織毛包細胞は、培養条件下に於ては、mRNAの発現パターンと同様にtype1の5α-リダクターゼ活性が優位であることが明らかとなった。 2、表皮細胞との同時培養が毛乳頭細胞の5α-リダクターゼmRNA発現に与える影響。 男性型脱毛症患者の脱毛部及び非脱毛部の毛乳頭細胞を8日間まで表皮細胞と同時培養し、type2の5α-リダクターゼmRNA発現を検討した。その結果、単独培養でも4日以上培養すると毛乳頭細胞に5α-リダクターゼtype2 mRNAの発現が認められ、表皮細胞と同時培養すると発現が抑制された。現在、種々の毛乳頭細胞を用いて再現性を確認中である。毛乳頭細胞は継代後数日間は本来の活性を発揮できないが、培養を続けることによって、毛乳頭細胞自ら細胞外マトリックスを含め周囲環境を整えることにより本来の活性を取り戻すことが出来るのではないかと考えた。今後、type IV collagen、ラミニン、フィブロネクチンなどでcoatされたdishを用い毛乳頭細胞のtype2の5α-リダクターゼ活性との関連も明らかにして行きたい。
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