アトピー性皮膚炎自然発症マウス(NC/Nga)の樹状細胞(DC)の機能・形態学的観察をおこなう目的で、骨髄由来のDCを培養し、抗原提示に関与すると考えられるMHCクラスII、CD40、CD80、CD86、およびFcγRII/IIIなどの細胞表面抗原の発現をFACSを用いて解析し、他系統のマウスのものと比較した。NCマウスでは、特にFcγRII/IIIの発現の亢進が観察され、それに伴い、FcγRII/IIIを介した抗原提示能、貪食能が亢進していることが明らかになった(第30回日本免疫学会、第17回国際アレルギー臨床免疫学会にて発表)。またSPF環境下のさまざまな週齢のNC/Ngaマウスおよび他系統のマウスから表皮を採取し、表皮シートを作製し免疫組織化学染色を用いてランゲルハンス細胞(LC)の分布を調べたところ、NCマウスのMHCクラスII分子陽性LCの数は他系統のマウスに比べ多く、さらにその形態は丸く樹状があまり伸展していないものであった。この形態がLCの機能にどのように影響するかについては未検討である。また皮膚炎発症NC/NgaマウスにおけるLCの分布も同じ手法により検討したが、病変による表皮の肥厚のために表皮シートの観察が困難であった。 また、同マウスよりケラチノサイトの細胞株の確立を試み、それに相当する細胞株を維持中である。今後、これらの細胞のケラチノサイトとしての特徴づけを行うとともに、刺激に対する応答性の検討を試み、他系統のマウスのものと比較する予定である。
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