研究概要 |
呼吸シネMRIについては,正常ボランティア4名についてのデータをビデオに収録しました。横隔膜・胸郭運動の視覚化,肺実質の各肺葉での容量変化の視覚化が良好であることが確認できました。 慢性肺気腫患者の症例数は,平成13年3月の時点で,4例と遅れています。その原因は,慢性肺気腫の外来患者のリストアップに時間がかかったものであり,検査数の遅れは平成13年度に取り戻す予定です。 少ない症例数ですが,重ね合わせ法により,MR血流画像と肺血流シンチグラムでの分布でどのような違いがみられるのか検討しています。 また,慢性肺気腫を合併している肺癌患者4例の術前肺機能評価について,呼吸シネMRIを施行し,肺実質の各肺葉での容量変化の違いによる肺換気異常が明瞭に描出できました。したがって,この検査法は,肺気腫患者の肺容量減少手術に対する術前評価としてだけではなく,慢性肺気腫合併症例の術前局所肺機能評価について広く適用できる可能性が示唆されました。また,腫瘍が末梢側で胸壁に接している症例では,胸壁と肺腫瘍の動きが同調するか否かによって,胸壁浸潤の評価が可能であることがわかりました。一方,腫瘍が中枢側に存在している症例では,腫瘍と肺動脈の描出に加え,末梢側の2次的な換気・血流障害が描出されました。 今年度中に,慢性肺気腫の症例を重ねて結果を出す予定です。また,この検査を,呼吸器疾患全般におけるMRI撮像のルーチン検査に加えることに致します。
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