各種画像診断を参考に、最大瘤径50mm、ネック径20mmの大動脈モデルを液状ラテックスにて作成した。低コンプライアンスモデルの作製にあったっては、壁の外側をナイロンメッシュで被い壁の拡張性に制限を加えた。ステントは、0.4mm径のステンレスワイヤーを電気溶接した25mm長、8ベントのZステントを5連結し全長125mmとした。グラフト素材は、(1)0.1mm厚のexpanded PTFE、(2)0.2mm厚のexpanded PTFE、(3)0.15mm厚・150ml porosityのwoven polyester及び、(4)0.13mm厚・900ml porosityのwoven polyesterを用いた。ステントグラフトをそれぞれ大動脈モデルにリークなく密着させて留置し弾性大動脈瘤モデルを作成し、圧測定回路をステント内及びステント外-瘤内(以下、瘤内)の2カ所に設置した。これらをポンプに接続し、種々の脈圧を負荷し圧を測定した。 すべての条件で、グラフト外-瘤内の圧はグラフト内の圧より低くかった。特に高コンプライアンスモデルにおいては、(1)〜(3)にて瘤内の圧はステント内に比して40%以下であった。また、(4)においては75〜94%程度であった。低コンプライアンスモデルではすべてのグラフト素材において5〜50%ほど低下したが、負荷する圧の上昇とともに圧較差は低下した。 以上、高低異なるコンプライアンス弾性動脈瘤モデルを用いて、圧緩衝効果を比較検討したが、低コンプライアンスモデルにおいては、負荷圧の上昇に伴いステントグラフトの圧緩衝効果が低下することが示された。これは低コンプライアンスの瘤ではいかなるステントグラフトを用いても血圧上昇に伴いステントグラフトの圧緩衝効果が低下することから、ステント留置後も血圧のコントロールを厳重に行うことが必要であることが示された。また、高コンプライアンスの瘤では、0-porosityのPTFEはもちろん150ml porosityのwoven polyesterでも良好な圧緩衝効果が期待できることが示された。
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