【目的】肝癌に対するワイヤー展開型LeVeen針(以下、LV針)を用いた高周波熟凝固療法(Radiofrequency Ablation ; RF)において、肝動脈塞栓術を先行させ血流遮断の併用による凝固範囲拡大の可能性について基礎的検討を行ったので報告する。 【対象ならびに方法】6頭のブタを用いて、全身麻酔下に大腿動脈より5Frイントロデューサーを挿入し、5Frカテーテルで肝血管造影を行った後、肝左葉に対しLipiodol 7mlとiopamidole(300mgl/dl)3.5mlを混和して作成したemulsionと、ゼラチンスポンジ細片を用いた経カテーテル的肝動脈塞栓術(Lipiodil-TAE)を行った。Lipiodol-TAE後の血管造影で十分塞栓されていることを確認した後、開腹下に、塞栓した左葉と非塞栓の右葉に、30wattsより開始し以降1分おきに10wattsずつ上昇させる出力条件で、全展開した状態で肝を施行した。RFのジェネレーターはRadiotherapeutics社製RF2000で、電極針には全展開した時の大きさが2cmのLV針を使用した。RF直後にKCL溶液の大量急速静注と脱血操作により屠殺し、摘出した肝において、電極針と平行な最大割面での凝固範囲を計測した。 【結果】塞栓していない肝右葉で得られた熱凝固範囲の形状はほぼ球形でその直径は平均21mm+/-4mmであり、一方塞栓した左葉で得られた熱凝固範囲の形状もほぼ球形でその直径は平均28mm+/-2mmと、Lipiodol-TAEを先行併用することで有意にRFで得られる熱凝固サイズの拡大を認めた(p<0.005)。 【結語】今回の検討から、Lipiodol-TAEの先行併用により、LeVeen針を用いたRFでは凝固範囲が大きくなり、RFの適応が拡大することが示唆された。
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