本研究の目的は、近年普及の進むX線ディジタル画像撮影装置の画質評価法を一般化するために、ディジタルX線画像の画質評価を簡易的手法により行えるシステムを確立することである。その目的のために本年度は、画質の物理的特性の一つである鮮鋭度を自動的に測定するシステムを開発した。 1.鮮鋭度の自動測定システムの開発 (1)ディジタル画像の鮮鋭度の定量値であるpresampling modulation transfer function(MTF)を測定するためにエッジ法を適用した。 (2)MTFの標本誤差の影響を少なくするために位置の異なる複数のエッジプロファイルデータを合成処理するところで、画像投影技術に基づくエッジ像の自動角度(位置)判定処理を加えた。この処理によって高い精度でedge spread function(ESF)を合成することが可能となった。 (3)合成されたESFを微分してline spread function(LSF)を求め、離散フーリエ変換処理を行うことによりMTFを自動測定するシステムが開発された。 2.測定精度の比較 computed radiography(CR)システムの検出器を測定の対象とし、エッジ法で測定した本システムによるMTFと、これまで一般的に精度が高い方法であるとされるスリット法によるMTFの比較を行った。その結果、エッジ法による本システムの結果とスリット法による結果がほぼ同じであったことから、本システムの精度が今後、充分実用に耐えうることが確認された。 次年度は、MTFの測定誤差とさまざまな測定条件、測定方法との関係を実験的に明らかにして、本システムの高精度化と実用化のために測定法の改良を行う予定である。
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