健常若年成人、健常高齢者各10名、脳血管性痴呆14名、アルツハイマー型痴呆12名の眼球運動・脳波記録が終了した。痴呆患者については平成13年度も引き続き、対象を集めていく。各痴呆患者のうちアーチファクトの混入が少なかった症例(血管性痴呆7名、アルツハイマー型痴呆7名)について眼球運動の解析と脳波解析を行った。眼球運動記録はデジタル変換後、各個人の視覚較正値により補正、微分して速度波形に変換し速度波形の絶対値よりピーク速度が15deg/sec以上の眼球運動を検出し、20秒の区間ごとに出現個数を算定した。脳波解析ではデータのデジタル変換後、全記録を20秒ずつの区間に分けアーチファクトの混入のない区間について2秒ごとに脳波活動重心を推定したうえで、10回の加算平均を行い20秒ごとの平均の脳波活動重心を計算した。 現時点で終了した解析結果から、脳血管性痴呆の上下方向におけるアルファ波高域とベータ波低域の脳波活動の変動が健常若年成人、健常高齢者およびアルツハイマー型痴呆より大きいことが確認された。また、急速眼球運動の頻度と脳波各帯域のglobal field powerの変化について相関分析をおこなったところ、健常若年成人、健常高齢者およびアルツハイマー型痴呆においては眼球運動とglobal field powerの間に有意な相関が多く認められたが、脳血管性痴呆ではほとんど認められなかった。 来年度はさらに症例を増やし、より詳細な統計処理を行う予定である。
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