研究概要 |
グルタミン酸受容体のサブタイプであるNMDA受容体の拮抗薬は精神分裂病に非常に類似した症状を呈することで知られている。精神分裂病の病態においてNMDA受容体の機能低下が生じている可能性を示唆する報告もあることからNMDA受容体機能を亢進させることが精神分裂病の治療につながる可能性を検討した。 我々は平成12年よりNMDA受容体拮抗薬投与により脳内の神経活動がどう変化するのかを調べることから研究を開始したが、現在までの成果としてはNMDA受容体拮抗薬投与により後部帯状回を中心に過剰興奮がおこり、それはGABA、アセチルコリン系等ニューロンを介して起きること,またその回路は前視床を介して行われていること等を明らかにしてきた。 現在はグリシン結合部位作動薬の作用機序をあきらかにすることを目的に、NMDA受容体拮抗薬投与ラットにグリシン結合部位作動薬を前投与した場合どのような影響をもたらすかを、免疫組織および分子生物学的手法を用いて調べるとともに、最近動物実験において記憶認知能力改善を認めたとの報告があったポリアミン結合部位作動薬等も治療候補薬物として検討している
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