Common cytokine receptorγ鎖(γc)は、インターロイキン-2受容体(IL-2R)、IL-4R、IL-7R、IL-9R、IL-15Rに共有され、リンパ球の発生と分化に重要な役割を果たしている。特に、γc鎖の細胞内領域は85アミノ酸から構成され、そのC末端48アミノ酸が、Jak3との会合及びその活性化に必須の役割を果たしている。申請者らはこれまでに、in vivo実験系でγc鎖の膜近傍領域を介したJak3非依存性経路の存在を示唆していた。さらに、発生工学的手法により、γc鎖の野生型及び変異体のトランスジーンをγc鎖欠損マウスのリンパ球に発現させ、γc鎖欠損マウスでは障害されているTリンパ球の分化が、C末端48アミノ酸を欠失したγc鎖変異体を発現させることによって回復することを示唆していた。今回、申請者らは、このマウスにおいてCD69陽性胸腺細胞数及び胸腺前駆細胞(CD4-CD8-CD25+)数が回復することを示し、γc鎖の膜近傍領域のTリンパ球発生に関与することを明らかにした。さらに、Tリンパ球発生を促進するbcl-2の発現が、γc鎖欠損マウスでは野生型に比し低下しているのに対し、C末端48アミノ酸を欠失したγc鎖変異体を発現させるとbcl-2の発現レベルが回復することをも示し、γc鎖の膜近傍領域がbcl-2の発現を介してTリンパ球発生に関与していることを明らかにした。
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