研究概要 |
1,前年度に確立したPCR法によって、移植後のEBV関連リンパ増殖性疾患とEBV関連の血液悪性疾患をスクリーニングした。しかし、当該年度にいずれの疾患もみられなかった。そこで、移植後に再発した血液悪性疾患患者に対して、前年度に確立した樹状細胞を用いた免疫療法の応用を試みた。 2,まず、in vitroにおいて移植後患者の末梢血中に、患者悪性細胞に対する特異的細胞傷害性T細胞が存在するか検討した。移植後再発した慢性骨髄性白血病の急性転化症例の保存白血病細胞を標的として、移植後患者末梢血単核球より細胞障害性T細胞を分離培養した。この細胞は、患者白血病細胞に対して細胞傷害性を示したが、が患者T細胞に対しては細胞傷害性を示さなかった。 3,次に、同種移植後の白血病再発患者の末梢血単球より、樹状細胞の培養を試みた。in vitroで培養された樹状細胞は、mixed lymphocyte cultureにて健常者樹状細胞と同等の抗原提示能を示した。 4,同種移植後白血病再発患者で、ドナーリンパ球輸注によっても二度以上の急性GVHDがみられず抗白血病効果の得られない症例に対して、患者樹状細胞を用いた同種免疫療法を計画し倫理委員会での承認を得た。 5,4例に対して、保存患者悪性細胞によって免疫した患者樹状細胞を複数回皮内投与した。その内2例において移植片対白血病効果が確認された。1例で急性GVHDがみられたが、それ以外に問題となる副作用はみられなかった。
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