研究概要 |
造血器腫瘍細胞に発現するHM1.24抗原は抗体療法の標的分子として機能する。本抗体療法の治療効果を高める目的で,まず骨髄腫細胞におけるHM1.24抗原の発現調節機構について検討した。骨髄腫細胞株U266を用い,HM1.24遺伝子の発現に関わるプロモーター領域を転写開始点上流-2K bpまでクローニングしたところ,-151から-77bpの領域にinterferon-stim ulated response element(ISRE)やinterferon-γ activated site(GAS),STAT3などの転写因子結合部位が存在していた。また,転写開始点-151bpまたは-77bpを組み込んだプラスミドのルシフェラーゼアッセイの結果,これらの転写因子結合部位がHM1.24の発現に重要であることが明らかとなった。この結果より,インターフェロンやインターロイキンなどのサイトカインがHM1.24抗原の発現に関与している可能性が考えられた。次に,各種サイトカインによるHM1.24抗原の発現誘導作用をフローサイトメトリーを用いて調べたところ,骨髄腫細胞株U266において,インターフェロン-αやインターフェロン-γの刺激が用量依存性にHM1.24抗原の発現を増強させることを見いだした。また,このHM1.24抗原の発現誘導は,インターフェロンの刺激により経時的に増強し,48-72時間後に最大に達することを明らかにした。
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