ウサギ腎集合管を単離潅流し、正味の重炭酸吸収量(J HCO3)および尿細管腔内pH(pHL)を測定した。また、この尿細管の管腔側に細胞膜に不透過な炭酸脱水酵素阻害薬である、p-flurobenzyl-aminobenzolamide(10μM)を加えたときの影響を検討した。定常状態でのJ HCO3は平均約75pmol/min/mmであり、stop flowとしたときのpHL低下度(dpHL/dt)は約-25pH unit/min/mmであった。ここにp-flurobenzyl-aminobenzolamideを加えるとdpHL/dtは有意に約30%減少し、1mg/mlの炭酸脱水酵素添加により完全に回復した。また浴液にHK-ATPase阻害薬であるSCH28080(10μM)を加えたり、H-ATPase阻害薬であるbafilomycin(5nM)を加えても有意な低下を示した。また、浴液のK濃度を下げてもdpHL/dtは有意に減少した。以上のことからウサギ集合管にもDisequilibrium-pHが存在し、これを維持するのには、基底膜側のHK-ATPase、H-ATPaseおよび管腔膜に存在する炭酸脱水酵素が重要であることが明らかになった。また、定常状態でのJ HCO3およびdpHL/dtは、in vitroにおいて3時間低pH状態においた尿細管(in virto acidosis)では対照より有意に高いことも明らかになった。
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