これまでに、サーファクタント蛋白質A(SP-A)がエンドトキシン(LPS)の細胞膜受容体CD14と結合することにより、LPSの異なるフェノタイプ(smooth型、rough型)により誘導される細胞応答を各々異なった様式で調節していることを報告してきた。本研究ではSP-AだけでなくSP-D、あるいはサーファクタント疎水性画分がLPS誘導細胞応答を調節し得るか検討した。 はじめにCD14との相互作用を検討した。CHO細胞で発現させた精製可溶型CD14を電気泳動施行後PVDF膜に転写しligand blotを施行すると、SP-AだけでなくSP-DもCD14に結合した。またCD14を酵素処理して糖鎖を除去すると、SP-Aは糖鎖除去したCD14に結合するのに対しSP-Dは糖鎖除去したCD14には結合しなかった。SP-AとCD14の結合と異なり、SP-DとCD14の結合はEDTAあるいはマンノースの存在下で阻害された。SP-AとCD14をあらかじめ反応させることによりCD14とsmooth LPSの結合は減少しCD14とrough LPSの結合はむしろ増加したが、CD14とSP-Dを反応させると、CD14とsmooth、rough LPSいずれとの結合も減少した。またマクロファージ様細胞U937を分化させ、様々な濃度のサーファクタント-TAの存在下でLPSと反応させると、mooth、roughいずれのLPSにより誘導されるTNF-alphaも、サーファクタント-TAの存在により抑制された。 以上、1)SP-DとSP-Aは異なった機構でCD14と相互作用した、2)サーファクタン疎水性画分はLPSにより誘導される細胞応答を抑制した。
|