研究概要 |
(1)昨年度と同様、正常およびhypマウス由来骨芽細胞を培養し、培養液(conditioned medium, CM)を培養日数ごとに採取、実験に供した。OK細胞をカバーグラス上に培養し、蛍光色素でインキュベートしたのちCMで灌流したところ、細胞内カルシウム濃度は上昇したが、正常とhypでは有意差はみられなかった。また細胞日数による明らかな差も認めなかった。しかし、これはCMの灌流方法に問題があった可能性があり、ウエル内培養細胞で同様の実験を行うなど、他の方法での検討が必要である。 (2)OK細胞にCMを12〜24時間作用させた際のNa-P共輸送体(NPT2)の発現をみた実験では、hyp由来骨芽細胞のCMを作用させた場合、正常骨芽細胞のCMに比べNPT2の発現を低下させた。今回はRT-PCR法の半定量技術を応用したが、今後はより定量性の高い方法で検討する。 (3)OK細胞でのprotein kinase C(PKC)活性はhyp由来骨芽細胞のCMを投与したところ、正常骨芽細胞のCMに比べ有意に上昇した。PKC活性は培養日数(3〜17日)により正常群、hyp群ともに上昇していく傾向にあった。以上の結果から、我々が想定している、骨芽細胞由来のリン酸調節因子は、PKCを介して近医尿細管でのリン酸再吸収を抑制している可能性が示唆された。 (4)今後は、PKCを介するような受容体の存在を想定し、チロシンリン酸化経路について検討を進めていく必要がある。
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