G蛋白質共役型受容体を介する細胞死誘導機構解明するため、ロドプシンおよびその恒常活性型変異体、エンドセリンAおよびB受容体を、まず一過性に発現し、単一細胞における細胞死の検討を試みた。しかしながら、トランスフェクションによる細胞の傷害や、個々の細胞での発現量の差異といった要因により解析が困難であったため、細胞死の特色の検討は安定発現株を用いてのみ行うこととした。現在までにエンドセリン受容体(ET_AR、ET_BR)、ソマトスタチン受容体(SSTR2、SSTR3、SSTR5)を安定に発現したF11細胞を作成中である。アンギオテンシン受容体に関しては、野生型の受容体の他に、昨年CRF受容体やPTH受容体で報告された、受容体のN末端にリガンドを結合した恒常活性型変異受容体の作成を試みており、これが成功した場合、エクダイソンによる誘導発現系を用い、この遺伝子によって引き起こされる細胞死の解析を行う。 カスペース活性化の検討を行うため、各種カスペースのインジケータを安定に発現するF11細胞の作成を行った。その一方でこのカスペースのインジケータの精度を更に向上させるため、二波長の蛍光を有する改良型のカスペースのインジケータを作成した。この改良型カスペースインジケータは従来のインジケータのSrcの膜結合シグナルと各種カスペースとの間にDsRedが挿入されており、そのカスペースが活性化、すなわち限定分解されると、細胞膜が赤、核が緑の蛍光を発するというものある。これを用いることにより、神経細胞などのように細胞体が小さく、細胞膜と核が接近している細胞でもカスペースの活性化が生きたままで観察できると期待される。
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