研究概要 |
筆者らは以前に、ヒトTSH受容体細胞外領域に相応した一連の合成ペプチドを用いて白人のバセドウ病患者におけるTSH受容体上のTリンパ球エピトープがアミノ酸158-176,207-222,343-362/357-376であることを報告した。また筆者は、白人においてバセドウ病の危険因子であると考えられているHLA-DR3分子を精製し、HLA-DR3分子とヒトTSH受容体合成ペプチドの結合を調べ、HLA-DR3分子がTリンパ球のレパートリー形成に与える影響を介してバセドウ病への罹患危険性を高めている可能性を報告した。 今回の研究は、抗原提示細胞がHLA-DR3分子上に実際に提示している(naturally processed)ヒトTSH受容体ペプチドを同定する目的で行なっている。 1)ヒトTSH受容体細胞外領域cDNAの哺乳類細胞発現ベクターへの組み込み ヒトTSH受容体細胞外領域をコードするcDNAをPCR法にて増幅し、哺乳類細胞発現ベクターpTARGET^<TM>expression vector(Promega)に組み込んだ。 2)HLA-DR3分子を発現するBリンパ球ラインへのヒトTSH受容体cDNAの導入 QBL細胞(EBウイルスにより形質変換したBリンパ球ライン,HLA-DR3をホモに発現する)に、哺乳類細胞発現ベクターに組み込んだヒトTSH受容体細胞外領域cDNAを、Electroporation法(EQUBIO Easy-ject Optima ET-003を使用)により導入した。導入の確認はG418による選択により行なった。 今後、HLA-DR3/抗原ペプチド複合体の精製、HLA-DR3/抗原ペプチド複合体からの抗原ペプチドの分離、そして分離した抗原ペプチドのアミノ酸配列決定を行なう。
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