研究概要 |
1.ナトリウム利尿ペプチドはAtrial Natriuretic Peptide(ANP),Brain Natriuretic Peptide(BNP)及びC-type Natriuretic Peptide(CNP)の3種類の内因性リガンドから構成され、その生物作用はそれぞれ膜型グアニル酸シクラーゼのサブタイプGC-A及びGC-Bを介する。ヒト骨/軟骨へのナトリウム利尿ペプチド作用を検討するため、社会的同意を得た胎児長管骨にANP及びCNPを10^<-7>M添加し、細胞内cGMP濃度を測定した。CNP添加によりANPに比して10倍以上の著しい細胞内cGMP上昇を認めた。摘出した長管骨にCNPを添加して6日間培養すると非添加群に比して長管骨伸長作用を認めた。In situ hybridizationを用いて長管骨成長板にCNP発現を確認した。以上の結果からヒト骨/軟骨においてもCNP/GC-B系を介した作用が確認された。 2.ラットの下肢筋肉内にコラーゲンでコートしたBMP-2を植え込むと2週間後には骨組織が誘導される。腹腔内に持続注入ポンプを用いてPGE_2投与すると、BMPの誘導する骨形成作用をPGE_2は低濃度で促進的に高濃度では抑制的に作用した。PGE_2の受容体にはEP1からEP4の4種類が知られており、各受容体特異的アゴニストを用いて検討すると、EP2及びEP4特異的アゴニストの添加により、BMPの誘導する骨形成作用を促進した。EP1特異的アゴニストの添加により、BMPの誘導する骨形成作用を抑制した。以上から、BMPの誘導する骨形成作用をPGE_2はEP2及びEP4を介して促進的に、EP1を介して抑制的に作用する事が示された。
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