(1)アポリポプロテイン(a)[アポ(a)]遺伝子5′発現調節領域の遺伝的多型性3ケ所について、異なる蛍光色素を標識した複数のプライマーを用いた増幅不応性変異検出システム(ARMS)を利用してDNAを増幅し、その産物をキャピラリー電気泳動によって半自動的にタイプを判定する方法を開発した。また、この方法を用いて症例のアポ(a)5′タイプを判定して、従来法との相違がないことを確認した。虚血性心疾患の症例は、コントロール群に比べて、A〜D群の割合が異なることが分かった。即ち、虚血性心疾患群でCタイプが多く、Dタイプが少ないことが確認された。また、Cタイプの人はDタイプの人よりリポプロテイン(a)[リポ(a)]血中濃度が高かった。リポ(a)濃度は、アポ(a)分子量と逆相関するので、C、Dタイプの症例のデータをプロットしたところ、Cタイプのホモ接合体の回帰直線の傾きは、Dタイプのそれより大きいことが明らかになった。 (2)アポ(a)遺伝子の多型性がリポ(a)血中濃度を規定しているので、高リポ(a)血症症例のリポ(a)濃度を安全域まで低下させるにはそれぞれのアポ(a)遺伝子のハプロタイプに対応したテーラーメイドの遺伝子治療をするのが望ましい。そこで、それぞれのタイプの発現活性を調べるために、7〜11個の(TTTA)nリピート(5種類)とA-Dタイプ(4種類)を組み合わせたハプロタイプ(20種類)をルシフェラーゼベクターに挿入して発現ベクターを作製した。予備実験では、上記の相互の組み合わせにより、発現活性が大きく変化することが分かった。 今後、特に発現活性の高いハプロタイプに対するリボザイムベクターをデザインし、構築する予定である。
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