本年度はマクロファージにおけるoxysterol産生の調節について検討を行った。これまでのマウス由来マクロファージクローンを用いた検討では、細胞膜表面に持続的にoxysterolを発現するクローンと全く発現しないクローンとが見出されたが、それらのクローンにおけるoxysterol発現量を調節することの出来る因子は未だ見つかっていない。そこで今年度は、ヒト末梢血より分離された単球の試験管内での培養中にマクロファージ活性化物質;インターフェロン-γ(IFN-γ)、リポポリサッカライド(LPS)、カルシウムイオノフォア、フォルポールーミリステートーアセテート(PMA)、等を添加し、一定期間培養後に回収した単球、あるいは単球細胞膜より抽出した脂質成分による腫瘍細胞増殖抑制活性を検討した。その結果、PMA刺激後の単球あるいは単球細胞膜より抽出した脂質成分に顕著な細胞増殖抑制活性が検出された。PMAはプロテインCキナーゼ(PKC)を活性化することが知られており、このことから、PKCの活性化が単球/マクロファージにおけるoxysterolの生成に関与することが示唆された。また、マウス由来マクロファージクローンを用いてoxysterolの発現と相関するマクロファージ機能;抗原提供能、貧食能、LPS刺激後のサイトカイン(IL-1、IL-6、TNF、IL-12、GM-CSF等)産生能、プロスタグランジンE_2(PGE_2)産生能、細胞表面I-A抗原発現量、等の検索を行ったが、oxysterol発現の有無と有意に相関するマクロファージ機能は見つからなかった。
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