体内埋込型人工臓器の低侵襲埋込手術法の研究において本年度は以下の実績を得た。 1.低侵襲手術に適した小型体内埋込型人工心臓の設計 本年度導入した日本エムエスシー社製CAE(Computer Aided Engineering)システムvisualNastran Desktopを用い、人工心臓システムの小型化設計を行った。本年度はこのシステムを用い、合計3つの人工心臓ポンプを設計した。 ・ 小型遠心ポンプと流れ変換バルブにより連続流から拍動流を生成するメカニズムを有するもの ・ モーターの回転運動を直線運動に変換し、人工弁の振動運動をポンプ機構とするもの ・ 円盤状のインペラーを揺動運動させることによりポンプ機能を発揮する方式のもの 2.小型体内埋込型人工心臓の試作 上記で設計した小型体内埋込型人工心臓を、現有設備である3次元モデリングマシン、真空注型装置等を用いて試作した。このうち小型遠心ポンプと流れ変換バルブにより連続流から拍動流を生成するメカニズムの人工心臓の実験結果はArtificial Organs誌に発表した。 本研究は、第一に低侵襲に装着や交換、離脱を実施するのに適した構造、機構を有した人工心臓の設計・試作することを目的とし、第二に実際の手術手技の提案とそれに必要な新しい手術機器の設計・試作を目的としている。本邦でも脳死患者からの臓器移植が現実のものとなり、永久使用の人工臓器とともに臓器移植までのブリッジユースとしての人工臓器の位置づけも重要なものとなっている。本年度は当初の計画通りに研究を進めることができた。来年度はさらにもう1種類の人工心臓システムを設計し、低侵襲に体内に装着、離脱可能なシステムに発展させる計画である。
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