研究概要 |
(目的)移植片拒絶反応を抑える方法には、免疫抑制剤による非特異的な免疫抑制や新生児誘導性寛容,放射線誘導性寛容,薬剤(抗体)誘導性寛容等による抗原特異的な免疫寛容の誘導があげられる。我々は抗TCR-αβ抗体、放射線低線量照射、および骨髄移入を用い、MHCもマイナー抗原も異なるマウスfully-alloの組合せにおいて、ドナー特異的免疫寛容を誘導できることを報告してきた(Transplantation 1995;59:395)。しかしながら、その詳細なメカニズムに関しては不明である。今回は上記regimenにおいてそのメカニズムについて検討した。 (方法) (1)上記プロトコールにおけるB細胞の動向を調べた。 (2)B細胞の変動に対するBMTの影響及びFas-FasL、TNFr-TNF活性の関与を調べた。 (3)in vitroでのB細胞の減少(培養72時間後、サブタイプ別の経時的変化) (4)B細胞のアポトーシスに対するbcl-2の関与を調べた。 (5)抗体産生細胞への分化のrule out (6)抗TCR-αβ抗体と放射線によるB細胞のアポトーシス (7)免疫寛容誘導に対するB細胞の関与 (結果)本プロトコールにおいてB細胞の激減が認められた。このB細胞のアポトーシスはT細胞よりTNFα、FasLを介さない減少であり、ドナー特異的な免疫寛容の誘導に必要な減少である可能性が示唆された。本実験は終了し、現在データのとりまとめの段階であり、まとまった業績として発表するには来年度末までの期間を要する。
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