研究概要 |
1.ERαの転写活性を抑制することが報告されている家族性乳癌の原因遺伝子BRCA1のユビキチンリガーゼ活性の解析。BRCA1とBARD1がRINGヘテロダイマー型ユビキチンリガーゼを形成すること、さらに従来報告されている家族性乳癌におけるBRCA1のミスセンス変異がユビキチンリガーゼ活性を完全に死活させることを発見した(J.Biol.Chem,276:14537-,2001)。 2.ERαのユビキチン依存性タンパク質分解に影響を与える細胞内修飾の解析。ERαはエストロゲン(E2)刺激にてユビキチン依存性に分解されることが報告されているが、これは細胞によって異なることが判明した。293T細胞を用いた遺伝子移入による一過性発現の系では、ERαタンパク質はE2によって著明に安定化し、ERE (estrogen response element)によって不安定となり、この際のタンパク質分解は26Sプロテアソーム依存性であった。 3.以上よりE2存在下および非存在下にてERαを基質としたBRCA1-BARD1のユビキチンリガーゼ活性を解析したが、BRCA1-BARD1はERαをユビキチン化しえなかった。 4.BRCA1-BARD1のRING finger domainと相同性のある他のRING finger遺伝子をクローニングし、そのユビキチンリガーゼ活性を解析した。その結果Rad18AとEfp (Estrogen responsive finger protein)がユビキチンリガーゼ活性を有することが判明した。
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