本研究では多価不飽和脂肪酸含有5-FU坐薬を開発し、多価不飽和脂肪酸に温熱が加わることにより生じるフリーラジカルと5-FUの抗腫瘍効果を期待し、直腸癌症例の術前三者併用療法に応用することを計画した。 多価不飽和脂肪酸(イコサペンタ酸)の酸化防止としてビタミンEの添加および坐薬表面を従来の坐薬基剤でコーティングすることで安定な剤型を開発した。 直腸癌の術前に用い、温熱治療、放射線療法と併用し、従来の三者併用療法と臨床効果を比較検討中である。具体的には、切除標本でフリーラジカルにより誘導されるアポトーシス細胞の有無、腫瘍組織内DNAの酸化的障害を検討している。又、術前座骨神経浸潤があり座骨神経切除がさけられないと判断された直腸癌の骨盤内局所再発症例に使用し、著明な腫瘍縮小効果がえられ、座骨神経を温存し得た症例を経験した。
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