肛門と直腸が有するすべての機能の回復を目的とする直腸肛門移植の基礎実験が研究の目的である。特に本年は肛門機能と直腸機能に対し、陰部神経と骨盤神経叢がどのように影響しているのかを動物実験で明らかにした。 成犬を用いて研究する。外肛門括約筋を支配する陰部神経を脱神経させた後、経時的に肛門機能と直腸のコンプライアンスを測定し肛門機能および直腸機能の変化を研究した。次に骨盤神経叢を脱神経し、切除して、経時的に肛門機能と直腸のコンプライアンスを測定し肛門機能および直腸機能の変化を研究した。 (1)成犬を用いた。外肛門括約筋を脱神経させた後、肛門機能と直腸容量を測定した。また、その後、骨盤神経叢を切除して、肛門機能と直腸機能の変化を計測した。陰部神経切除は肛門機能を低下させたが、直腸機能には影響なかった。また、骨盤神経叢の切除では、肛門機能の低下を認めなかったが、直腸の容量が減少した。 それらの変化より、直腸肛門移植において、再建すべきあるいは再建可能な機能として、骨盤神経叢も重要な1構成因子であると考えられた。
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