臨床胃癌材料を元にしたcDNAライブラリーより、機能発現クローニングの手法にてわれわれが発見した、ある種のG-protein coupled receptor(GPR)遺伝子は正常細胞に導入することにより、異常増殖を示すことが確認されている。この遺伝子の機能を解析することにより胃癌発生機序の解明や遺伝子治療への可能性を検討している。 今年度は目的遺伝子の完全シークエンスを行うとともに、われわれが増殖活性をもとにクローニングした、その他遺伝子群の中にaltanating splice産物と思われる遺伝子も確認した(GPRXaおよびGPRXbとする)。これらの遺伝子が実際の胃癌組織においてどのように発現しているかを検討するために、臨床から得た各種胃癌組織に対しRT-PCRによる半定量を行って、組織型別の発現量の検討を行っている。また、大腸癌はもとより消化管以外の癌腫においての発現も検討するため、各種癌組織を収集している。正常組織においては小腸に高い発現が見られることが確認されているが、その他の正常組織における発現も可能なかぎり検討する予定としている。
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