研究概要 |
1.まず抗癌剤薬剤感受性試験CD-DST(collagen droplet embedded culture drug sensitivity test)法のin vitroでのデータの再現性の程度を、非小細胞肺癌細胞株をもちいて定法どおりの条件で接触薬剤の濃度を変え、複数回(N=15)測定することにより検討した。その結果、臨床検体の測定に用いているタキサン系薬物接触濃度条件においては抑制率のデータは標準偏差10%以内におさまることを確認した。上の結果を踏まえ、当院における、2000年10月までの肺癌切除例のうち、抗癌剤感受性を測定した症例は約102例存在した。臨床的には試験結果の評価を、抑制率50%をカットオフ値として有効・無効判定としているが、上記の結果を踏まえ、60%以上を有効判定、40%以下を無効判定とし、この102例を、1.従来の抗癌剤(シスプラチン)、タキサン系薬剤(タキソテール)両方で有効判定の群(N=9)、2.シスプラチン無効で、タキソテール有効判定の群(N=9),3.シスプラチン、タキソテール共に無効判定の群(N=10)に分けた。パラフィン処理標本を用いて癌関連遺伝子の抗体(anti-p53 antibody)を用いた免疫組織化学染色を施行した。各群において有意差は認められなかったが、薬剤耐性群において陽性例(染色される腫瘍細胞がある)が多い傾向が見られた。今後さらにKi-67、bcl-2等についても検討する予定である。 2.細胞株に対して温熱刺激を加えてその前後でのタキサンに対する感受性の変化および、DNAマイクロアレー法を用いた温熱刺激前後の遺伝子発現の変化について検討した。現在のところ有意な変化を示すものは見つかっておらず、検索する細胞株を変えてさらなる検討を行う予定である。
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