研究概要 |
I、要旨 6週齢の雄性ドンリュウラットの腹水で継代している吉田腹水肝癌(LY-80)に対する血管新生阻害剤TNP-470の抗腫瘍効果を検討した。 腫瘍細胞懸濁液をラットの背部皮内に移植し,担癌モデルを作成した。TNP-470投与群は腫瘍移植後Day1,3,5,7に皮下注射した。Day10に犠牲死させ.腫瘍重量を測定し,対照群(生理食塩水皮下注群)と比較した。この結果、投与群に著明な抗腫瘍効果が見られた。 II、材料ならびに方法 1.使用薬剤。フマギリン誘導体であるTNP-470(武田薬品工業より供与)を用いた。 2.実験動物。6週齢の雄性ドンリュウラットを用いた。 3.実験腫瘍細胞。ドンリュウラットの腹水で継代している吉田腹水肝癌(LY-80)を用いた。 4.実験方法 腫瘍細胞懸濁液0.2ml(2×10^6)をラットの背部皮内に移植し,担癌モデルを作成した。TNP-470の投与量は30mg/kgとした。エタノール0.3mlでTNP-470を30mg溶解し,その溶液を5%のメチルセルロース(9.7ml)で希釈したものを使用した。TNP-470投与群は腫瘍移植後Day1,3,5,7に30mg/kgを皮下注した。Day10に犠牲死させ,腫瘍重量を測定し,対照群(生理食塩水皮下注群)と比較した。 III、結果 TNP-470投与群と対照群とを比較した。 対照群 (n=5) 8.2±2.2 (単位 g) TNP-470投与群 (n=5) 2.4±0.8 (単位 g) (Mean ±SD) p<0.05 comparing the TNP-470 group with the control group TNP-470投与群で対照群に比して著明な抗腫瘍効果が認められた。現在,TNP-470と人工酸素運搬体との併用においての抗腫瘍効果をマイクロソフィアを用いて測定する実験をおこなっている。
|