研究概要 |
当教室で同定した5つの高頻度LOH領域のうち,17q25.1上のデータベースに公開されている約40個のESTを,肺癌細胞株cDNAを鋳型にPCR法にて増幅した.その結果,EST(SHGC-11589,Gen Bank accession No.T55738)に発現の消失または極度の発現の低下を認めた.(更にこのESTは,肝臓,子宮,胃,乳腺の癌細胞株においても発現の消失または極度の発現の低下を呈してた.)このESTを新規癌関連候補遺伝子と考え,遺伝子のmRNAの長さ,組織における発現パターン,およびRACE法やcDNA libraryのスクリーニングを行い完全長のcDNAをクローニングした. Northern blotでは,mRNAの全長は約1.8Kbであり骨格筋,腎臓,肝臓に発現が認められた.cDNA libraryのスクリーニングにhitしたcDNAは,全長1834bpで441個のアミノ酸をコードしていた.RACE法において得られたcDNAは全長1807bpで,cDNA libraryのスクリーニングにhitしたcDNAと同じアミノ酸をコードしていた.ソフトウエアーによるタンパク解析では,このタンパクはコドン23で切断されるsignal sequenceと7つの膜貫通ドメインを有することが推測された. 現在,このタンパクの膜局在部位を調べている.またPAC,BACクローンを用いてゲノム構造を決定し,肺癌細胞株や手術検体での遺伝子異常を検索し癌との関連を調べている.
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