研究概要 |
肺腺癌患者腫瘍浸潤リンパ球から樹立したHLA-A24拘束性CTL(GK-CTL)によって認識される癌拒絶抗原Adenocarcinoma antigen recognized by T cells-4(ART-4)の解析を行った。Northern blottingによりART-4遺伝子の全長は、約1.8Kbpと推測された。また、mRNAレベルでは、癌細胞のみならず正常組織にも普遍的に発現していた。膀胱癌細胞株cDNA libraryを用いてcolony hybridizationを行い、全長1,733bpのART-4遺伝子を同定した。ART-4蛋白は412アミノ酸からなり、分子量は46KDaと推測された。ART-4の融合蛋白をウサギに免疫しポリクローナル抗体を作製し、これを用いてWestern blottingを行った。ART-4蛋白の分子量は46KDaであった。また、蛋白レベルでは、T細胞白血病細胞を除き大多数の癌細胞、組織に発現していたが、精巣、胎盤、胎児肝を除き正常組織には発現していなかった。ART-4蛋白からHLA-A24 binding motifにあう8-11アミノ酸からなるペプチドを合成した。この蛋白の13-20番目、75-84番目に位置する二つのペプチドがCTLによって認識された。限界希釈法にてGK-CTLクローンを得て、これらのペプチドをパルスしたHLA-A2402安定形質転換細胞株C1R-A2402に反応させIFN-γ産生能を指標としてART-4抗原ペプチド特異的CTLクローンを同定した。肺癌患者の末梢血をこれらのペプチドで刺激し、HLA-A2402陽性肺腺癌細胞株11-18およびART-4抗原ペプチドをパルスしたC1R-A2402に対する反応性をIFN-γ産生能および細胞傷害試験で検討しHLA-A24拘束性腫瘍特異的およびペプチド特異的CTLを誘導できることがわかった。
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