腫瘍組織内の局所的MGMT酵素抑制のため、ラット脳腫瘍の皮下移植モデルを作成し、O^6-benzylguanineに徐放効果を与えた製剤を用いてin vivoにおけるMGMTの発現制御とニトロソウレア剤に対する感受性変化の検討を行っている。生後7週齢のオスヌードマウスにラットグリオーマ株C6細胞を用いて、皮下移植モデルを作成した。O^6-benzylguanineに徐放効果を与える手段としてフィブリンを用いることとした。この皮下腫瘍の体積が1000mm^2を超えた時期に腹腔内麻酔下でO^6-benzylguanineを溶解したフィブリン糊を移植したモデルを作成した。このモデルを用いて、O^6-benzylguanineのみの移植モデルであるcontrol群とO^6-benzylguanineとACNUとの併用療法で治療した群で治療実験を行っている。最終的な結果は得られていないが、ACNUを併用した群で移植腫瘍の成長が鈍化している傾向がみられる。また、MGMT発現制御の検討を目的として、今回作成した皮下移植モデルを用いて経時的なMGMT活性の変化を観察し、フィブリン溶解O^6-benzylguanineの徐放性確認のために免疫組織化学法でMGMT染色を行い検討中である。これらの検討の後にリボザイムを用いてMGMTmRNAの発現を制御し、脳腫瘍細胞のニトロソウレア剤耐性の克服を目的とする実験を行う予定である。
|