研究概要 |
平成12年度は,成熟ラット上衣下脳組織由来の神経幹細胞からドパミン産生神経細胞を誘導する実験を施行した. 1)細胞培養:成熟Sprague-Dawleyラットを用い,ラット上衣下脳組織を実体顕微鏡下に摘出した.得られた組織を細切後,トリプシン/DNase処理を行い細胞懸濁液を得た.uncoated-plastic dishを培養皿とし,培養液はDMEM(Dulbecco's modified Eagle's medium)+10%FBS(fetal bovine serum)を用いて培養を行った.酸化ストレスによる細胞死を防ぐ目的で,培養4日までは2-メルカプトエタノール(2-mercaptoethanol,2-ME)を培養液内に添加した.さらに培養5日目より,神経細胞への誘導を促す目的でbFGFを20ng/mlの濃度で培養液内に添加した.尚,培養5日目より培地は無血清培地とした. 2)神経幹細胞の確認:培養4週後,得られた細胞に対し,nestinによる免疫組織化学染色を行った.全細胞の約90%がnestin陽性であり,今回の培養実験で得られた細胞は神経系幹細胞であることが確認された. 今後,神経系幹細胞に対し,レチノイン酸処理を行いneuronへの分化を促し,さらにドパミン酸性能を確認する予定である.
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