研究概要 |
A.脳腫瘍の悪性度に関する遺伝子診断法の確立 腫瘍遺伝子診断のルーチン化:手術で得られた病理診断提出用の組織の一部をその場で迅速にマイクロチューブに圧着し、低張処理およびカルノア液固定を行い、スライドグラス上におき蒸気固定、FISH用標本とするマイクロチューブスタンプ法を確立した。既知の遺伝子異常につき、gliomaとmeningiomaの40症例において腫瘍型に応じてダブルターゲットFISHを行い、染色体欠失、過剰および遺伝子増幅につき判定した。現在、精度評価としてgliomaおよびmeningiomaの個々の症例で、FISHの結果、病理組織診断におけるWHO gradingと臨床的予後の相関につき評価している。その後、代表的な脳腫瘍の悪性度遺伝子診断の指標を確立する。 A.第1番染色体短腕、1p36領域の癌抑制遺伝子の解析 すでに1p36領域の欠失が判明していた13例のoligodendroglial tumorに最近の5症例を加え,8個のマイクロサテライトマーカーにて1番染色体短腕の欠失地図を作成した。1p32よりdistalに癌抑制遺伝子が存在するものと考えられる。14例のatypicalおよびanaplastic meningiomaにおいても同様の染色体欠失地図を作成した。1p36.3にマップされた新規のp73遺伝子について上記の症例において、13のエクソンにつきそれぞれPCRプライマーを作成、SSCP法を用いてDNAレベルの異常を解析した。現在までの解析では、DNAレベルでの異常は認められていない。
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