Osteogenic protein-1(OP-1)は元来、骨新生を促すtrophic factorとして発見されたが、神経系にも作用する。また、OP-1ならびにそのreceptorが脳内にも広く存在することが報告されている。OP-1はaxonよりもdendritesに対する作用が強く伸長作用がある。このことに着目してin vivoモデルにおいて神経機能回復促進効果について検討した。 中大脳動脈閉塞により実験的脳梗塞を作成し、24時間後にOP-1の投与を開始する(脳槽内投与)。モデルはわれわれが従来のものを改良したもので、ラットへの侵襲が少なく、長期生存が可能である。OP-1投与後にforelimb placing testならびにhindlimb placing testを用いて神経機能を評価すると、治療群では神経機能の回復が促進された。さらに治療windowについて検討したが、脳梗塞発症後72時間まで投与開始を遅らせても神経機能回復促進効果が認められた。これは非常に重要なポイントで、脳梗塞巣を直接縮小できない時間帯に投与をはじめても、麻痺などの神経機能は回復させられる可能性があることを示している。これは臨床応用に向けて非常に有益な結果であると考えられる。今後は投与経路などの検討が必要だと考えている。 また、OP-1による神経機能回復促進の作用機序についても検討をはじめている。細胞内signaling transduction pathwayに着目しているが、最終結果は得られていない。
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