PKC特異的阻害剤(カルホスチンC)によって誘導されるグリオーマ細胞のアポトーシスについて(特にそのミトコンドリアでの影響に関して)次の諸点を検討した。 1、ミトコンドリア内膜は、低分子に対する透過性が変わり、膜電位が急激に低下することがあり、これはPTポアーの開閉による。恒常的にPTポアーが開いていると細胞死となるが、免疫抑制薬シクロスポリンA、アデニンヌクレオチドトランスロケター阻害薬ボンクレキン酸はPTポアーを閉じさせる。グリオーマ細胞では、PKC特異的阻害剤誘導アポトーシスに対するシクロスポリンA、ボンクレキン酸の阻害効果はほとんど認められなかった。 2、フローサイトメトリー法を用いてカルホスチンC作用時に認められたミトコンドリアのtransmembrane potentialの低下に対するz-VAD.fmk、オリゴマイシンの阻害効果を調べたところ、オリゴマイシンは濃度依存的にtransmembrane potentialの低下を阻害したが、z-VAD.fmkは阻害しなかった。 3、カルホスチンC作用によりミトコンドリアのATP産生能低下を認めたが、オリゴマイシンはその低下を抑制した。
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