8ヵ月齢のラットを用いて、骨芽細胞は存在するが骨細胞は存在しない状態の骨を作成した。ラット脛骨を展開し、液体窒素に浸けた綿棒を骨に1回15秒間、計3回接触させた。コントロールでは液体窒素の代わりに生食水を使用した。処置後4週、8週にカルセインで二重標識ラベルを行い骨を摘出した。硬組織標本を作製し、皮質骨内の骨細胞数と骨形成および骨吸収の状態を観察した。これらの標本では前年度に施行した8週齢のラットとは異なり、骨細胞が死滅しても骨吸収の亢進は認められなかった。 さらに8週齢のラットにビスホスフォネート製剤を腹腔内投与し骨吸収が亢進しないように前処置した後に、上記ラットと同様に液体窒素を用いて骨細胞を死滅させた。8週齢のラットでもビスホスフォネート製剤の投与により、骨細胞が死滅しても骨吸収の亢進を抑制することができた。 以上の2種類のラットを用いて力学的負荷の作用について検討した。両側の脛骨に上記の方法で液体窒素を接触させて骨細胞を死滅させた。これらのラットの右脛骨のみに4点曲げ器を用いて力学的負荷を作用させた。1日3分間、連続5日間力学的負荷を作用させた後に、カルセインで二重標識ラベルを行い両側の脛骨を摘出した。現在、硬組織標本を作製中である。力学的負荷の効果は(右脛骨内骨膜面の骨形成率)-(左脛骨内骨膜面の骨形成率)で算出する予定である。
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