1.Class I分子への結合モチーフを持つSYT-SSX遺伝子領域の同定とペプチド合成 SYT-SSX遺伝子配列より、HLA-A24 class I分子への結合モチーフをもつ領域を同定した。SYT-SSX転座領域よりAペプチド(PYGYDQIMPK)とBペプチド(GYDQIMPKK)を合成し、SSX領域よりCペプチド(AWTHRLRERK)とDペプチド(AWTHRLRER)を合成した。 2.合成ペプチドによる滑膜肉腫患者末梢血からのTリンパ球の誘導 HLA-A24陽性の滑膜肉腫患者6例の末梢血からT細胞と樹状細胞を分離した。樹状細胞を(A+B)ペプチドまたは(C+D)ペプチドで刺激した後に、T細胞と混合培養した。 3.ペプテド特異的殺細胞効果の検討 混合培養によって得られたTリンパ球の殺細胞効果を51Cr遊離試験により検証した。リンパ芽球細胞株(CIR)にHLA-A2402遺伝子を導入したCIR-A*2402細胞と、SYT-SSX遺伝子とHLA-A24の両方を発現する滑膜肉腫株(Fuji)を標的とした。1例の滑膜肉腫患者において、(A+B)ペプチドで刺激したT細胞が、(A+B)ペプチドを発現するC1R-A^*2402細胞とFuji細胞を殺傷した。 4.HLA-A^*2402テトラマーによるペプチド特異的T細胞の検出 (A+B)ペプチド-HLA-A^*2402テトラマーと(C+D)ペプチド-HLA-A^*2402テトラマーを作製した。HLA-A^*2402陽性の滑膜肉腫患者6例と健常者6例より末梢血を採取し、それらのテトラマーと反応するT細胞をFlow cytometoryを用いて検出した。滑膜肉腫患者6例中3例(50%)において(A+B)ペプチド-HLAテトラマーと反応するT細胞を高頻度に認めた。健常者ではペプチド-HLAテトラマーと反応するT細胞は0.05%以下であった。
|