【培養Schwann細胞処理高分子ポリマーチューブの作成】Fisher系新生児ラットの後根神経節からSchwann細胞を採取培養し、Schwann細胞の初代培養を得た。ついで初代培養がコンフルエントした上で再度分散培養したSchwann細胞を長さ20mm、内腔2mmのPLLAとPCLの共重合体のチューブ内にピペッティングしてから再度培養した。その結果Schwann細胞を特異的に染色する抗S-100抗体を用いて、チューブ内腔に生着したSchwann細胞を確認した。また走査電子顕微鏡においてもチューブ内腔の細胞外マトリックスおよびSchwann細胞を確認した。 【培養Schwann細胞処理高分子ポリマーチューブを用いた神経欠損部架橋時の末梢神経再生の検討】 I型コラーゲンでコーティングを行ったPLLAとPCLの共重合体を筒状にして内腔とし、その外周をPLLAのメッシユで補強した長さ16mm内径2mmのチユーブを作成した。ついでFisher系新生児ラツトの後根神経節から採取したシュワン細胞を培養しこのチューブの内腔に播種した。このチューブをFisher系ラットの坐骨神経に作成した12mmの神経欠損部に移植し人工神経群とした(n=8)。また同様の12mmの欠損部に同径のシリコンチューブを移植しシリコンチューブ群とした(n=8)。術後12週目に坐骨神経を採取し神経の再生について組織学的に検討を加えた。その結果、神経欠損部より2mm末梢の坐骨神経の横断切片を作成しLFB染色を行ったところシリコンチューブ群では神経の再生は全く認められなかったが、人工神経群では全例に著名な神経の再生が認められた。 【結語】培養シュワン細胞を組み合わせたhybrid型人工神経は将来有望な神経補填材料となりうると考えられた。
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