研究概要 |
侵害刺激が疼痛として認識されるまでの過程は複雑である。その第一段階として、末梢において刺激を電気信号に変換すると考えられる分子が存在する。その候補として発痛物質であるカプサイシンに反応する受容体(vanilloid receptor-1,VR1)とVR1に類似したアミノ配列をもつ受容体(VRL1)が発見され分子がクローニングされ、一次構造が決定された。これらの分子は受容体として働き、またイオンチャネルの構造を内在しており、熱刺激、発痛物質、化学刺激により活性化され、イオン電流を流すことがわかった。 本年度は 1)VR1、VRL-1のcDNAをベクターに組み込み、これを鋳型として安定したcRNAを合成した。 2)アフリカツメガエル卵母細胞にVR1あるいはVRL1のcRNAを注入し、VR1、VRL1を発現させた。 3)熱刺激、カプサイシン刺激、pH変化による刺激に対するカルシウム電流への各種濃度の麻酔薬の影響を2電極ボルテージクランプ法により電気生理学的に検討する。 現在のところ明らかな結果を得られていない。これは熱刺激、pH変化の時の電気生理学的実験の安定性が不十分であると考えており現在検討中である。
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