目的:NGFや神経伝達物質のシナプス再構築時にそのシナプスの性質(興奮性か抑制性か)に関与する影響を調べる。 方法:水棲カタツムリLymnaea Stagnalisの神経節から神経細胞のうち呼吸に関与している2個のRPeD1細胞をNGFを含有していない培養液(コントロール群)およびNGFを含有した培養液(NGF群)、興奮性神経伝達物質ドパミン1μMを含有した培養液(DOPA群)、抑制性神経伝達物質GABA1μMを含有した培養液(GABA群)の4群にそれぞれ分けて3mlの入ったシャーレで接近して2日間培養し、2個の細胞間でシナプスを形成させた後、2個の神経細胞それぞれに電極を挿入し、シナプス間の興奮伝達を測定した。 結果:コントロール群(n=13)およびNGF詳(n=14)では興奮性シナプスおよび抑制性シナプスともにおなじ割合だった。DOPA群では興奮性シナプスが有意に多く形成され(興奮性シナプス:80%、n=12)、GABA群では抑制性シナプスが有意に多く形成された(抑制性シナプス:90%、n=14) 考察:RPeD1細胞では、シナプスを形成する過程において、NGFがシナプス伝導の形態を決定するのではなく神経伝達物質の種類やその濃度などの因子がシナプス伝導の形態を決定する可能性が示唆された。
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