Kチャンネル開口薬のブピバカイン誘発性不整脈に対する効果を検討した。 (方法)兎にケタミンを10mg/kg投与し入眠させたのち、気管内挿管を行い、ベクロニウムを1mg/kg投与し人工呼吸とした。麻酔維持は、ケタミン10mg/kg/hrの持続投与とした。大腿動脈にカニュレーションを行い、観血的動脈圧測定に使用した。ブピバカインの投与ルートとして大腿静脈にもカニュレーションを行った。針電極により、肢誘導心電図を導出した。ブピバカインを1mg/kg/minで持続投与し、心電図上2段脈が発生した時点で不整脈が持続するようにブピバカインの投与量を0.3mg/kg/min前後に変更した。この時点および実験終了時のブピバカインの血清中濃度を測定した。不整脈が持続的に発生している定常状態で、Kチャンネル開口薬のニコランジル0.1、0.2、0.4mg/kgを順に投与し、不整脈の消失時間と、平均血圧の変化を記録した。別の群では、Naチャンネル開口薬であるveratridine 10、20、40microg/kgを順に投与した。(結果)ブピバカインの血清中濃度は、定常状態作成時4816ng/ml(以下平均値)、実験終了時4808ng/mlと有意差を認めず、実験中の定常状態が維持されたことを示した。ニコランジル群では、不整脈消失時間は、投与量順に9、12、16秒であり、平均血圧の低下率は、18、30、34%であった。一方、veratridineでは、0、2、9秒で、平均血圧は、0、8、36%増加した。(考察)ニコランジルおよびveratridine両者において、不整脈は消失しており、ブピバカイン誘発性不整脈にはK、Na両チャンネルブロックが関与しているものと思われるが、今後nを増やして証明する必要がある。
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