研究概要 |
ペンタゾシンはモルモット気道平滑筋に対して2相性の作用があることが判明した。 a)収縮気道平滑筋に対するペンタゾシンの作用 カルバコールによる前収縮気道平滑筋に対し、ペンタゾシンは濃度依存性(10microM-1mM)に弛緩作用を示した。この弛緩作用はペンタゾシンが作用するとされているオピオイドレセプター(κ,σ)を介さないことがそれぞれのレセプター拮抗薬(nor-BNI,ハロペリドール)を用いた実験から明らかとなった。また、pブロッカーであるプロプラノロール前処理にても弛緩作用が抑制されなかったことより、βレセプターを介した弛緩作用でないことが示唆された。これらよりペンタゾシンは収縮気道平滑筋を弛緩させるが、そのメカニズムは不明であることが結論となった。ペンタゾシンの気道平滑筋弛緩作用は、気道平滑筋弛緩薬であるβレセプター刺激薬のテルブタリンに匹敵し、アミノフィリンよるものより強かった。また、このペンタゾシン濃度レンジ(10microM-1mM)ではモルモット胸部大動脈平滑筋のトーヌスを変化させることはなかった。 b)静止気道平滑筋に対するペンタゾシンの作用 安定した静止状態にある気道平滑筋に対し、ペンタゾシンは10-300microMのレンジで濃度依存性に収縮させたが、1mMでは一転して弛緩作用を示した。この収縮作用はカルシウムチャネルブロッカーであるベラパミール前処理にて消失したことからペンタゾシンの収縮作用はカルシウムチャネルを介したものであると判明した。 c)気道平滑筋トーヌスとペンタゾシンの作用 弱く収縮させた平滑筋と、強く収縮した平滑筋にペンタゾシンを投与したところ、弱収縮筋に対してペンタゾシンは収縮作用を示し、強収縮筋に対しては弛緩作用を示した。これよりペンタゾシンは、気道平滑筋のトーヌスに応じて弛緩・収縮作用をもつことが示唆された。
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