1)Cbl変異体発現P388D1マクロファージ細胞株におけるFcγ受容体依存性貪食能の検討 前年度に作成したCblおよび70Z型Cblのリン酸化チロシン結合活性を欠く点変異体(Cbl-G306Eおよび70Z-G306E)を発現したP388D1細胞株を用いてFcγ受容体依存性貪食能の検討を行った。P388D1細胞株においてもCOS細胞と同様に70Z-G306E発現では70Zの発現に比べFcγ受容体依存性貪食の促進が減弱していた。Cbl-G306E発現株では野生型と同様に貪食能の変化を認めなかった。マクロファージ細胞内環境においてもCbl-70Zによる貪食能の促進はリン酸化チロシン結合部位に依存することが示された。 2)CblおよびCbl変異体発現P388D1マクロファージ細胞株のFcγ受容体依存性サイトカイン産生能の検討 CblおよびCbl変異体を発現させたP388D1マクロファージ細胞株を抗体Fc部位を用いて刺激しIL-1αおよびIL-6産生の測定をELISA法により行った。Cbl変異体(70Z)の発現による明らかな産生の増強は認めなかった。野生型細胞におけるIL-1αおよびIL-6産生量が測定感度下限であったことからCbl野生型の発現がIL-1αおよびIL-6産生に抑制的に作用するか否かは不明であった。 3)CblおよびCbl変異体発現P388D1マクロファージ細胞株のLPS依存性サイトカイン産生能の検討 CblおよびCbl変異体を発現させたP388D1マクロファージ細胞株をLPSにより刺激しIL-1αおよびIL-6産生をELISA法により行った。Cbl発現による明らかな影響を認めなかったことから、Fcγ受容体刺激とLPS刺激に対してCblは異なった作用を持つと考えられた。
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