肺血管内皮障害が存在すると低酸素性肺血管攣縮の機能障害が起こり、片肺換気中に重症な低酸素血症を引き起こす可能性がある。今回、我々は肺外科手術に片肺換気が必要な症例において肺血管内皮機能検査と片肺換気中の肺ガス交換能について検討している。(久留米大学倫理委員会、研究番号2023、平成12年10月10日承認) 全身麻酔導入後、体血圧測定と動脈血液ガス分析のために橈骨動脈にカテーテル留置し、また右内頚静脈より肺動脈カテーテルを挿入し、肺動脈圧、中心静脈圧を経時的に測定している。仰臥位両肺換気時に血行動態および動脈血ガス分析のコントロール値を測定している。次に側臥位、両肺換気時に同様な測定と肺血管内皮機能検査を施行している。肺血管内皮機能検査は肺動脈カテーテルからアセチルコリンを投与し、肺動脈圧・体動脈圧変化を記録している。その後、側臥位、開胸片肺換気後20分経過時における血行動態、動脈血酸素分圧を測定している。現在、アセチルコリンによる最大反応を求めるための至適ボーラス投与量と持続投与量を検討中である。また、経食道心臓超音波検査による肺動脈血管径と血流速度を測定記録するために、ディジタル記録器および画像処理のためのディジタル変換機を購入し、肺血流評価機器を構築した。来年度には、血行動態、血液ガス分析とともに肺血管血流画像を記録し総合的な評価をしたい。
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