体外循環後の重篤な低酸素血症を呈するような症例は、体外循環中に肺血流が低下する結果、肺血管内皮機能障害の存在の可能性がある。今回我々は、体外循環を必要とする心臓手術患者に対して、肺血管内皮機能検査と血管内皮依存性の物質(NOx、ET)やIL-6への影響や肺ガス交換能について検討を行うこととした。(久留米大学医学部倫理委員会承認) 全身麻酔導入後に肺動脈カテーテルを挿入し、肺動脈圧、中心静脈圧を橈骨動脈圧とともに連続的に測定している。肺動脈血管内皮機能検査は体外循環前後において、肺動脈カテーテルの肺動脈内ポートよりアセチルコリンの注入を行い、循環動態の変化を測定している。また、アセチルコリン注入前後においては、血液採取を動脈内、肺動脈内から行い、前述の血管内皮依存性物質等の測定を行っている。現在、アセチルコリン注入による反応性と投与量、投与方法に関して評価を行いながら、再検討をしている最中である。来年度には物質の血管内濃度変動と共に肺血管内皮機能の総合的な評価が行えるようにしたい。
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