研究概要 |
1)ヒトBAT1遺伝子(cDNA)のクローニング ラット腎より先に同定したアミノ酸トランスポーターBAT1より保存された領域約500塩基対を設定しこれをPCR法により増幅しクローニングプローブを作製した。ヒトの腎cDNAライブラリーをこのプローブによりスクリーニングし陽性クローンを得た。このクローンのシークエンスを解読し.1664塩基対よりなりプロモーター:polyA構造を含む全長クローンであることを確認した。このクローンは487アミノ酸からなる蛋白をコードレラットBAT1との相同性は87%と高く、ヒトにおける相同クローンと考えられた。 2)ヒトBAT1の機能解析 ヒトBAT1が腎におけるシスチンの輸送体であることを証明した。ヒトBAT1およびタイプエシスチン尿症の責任遺伝子であるヒトrBATクローンをそれぞれ機能発現ベクターpcDNA3.1にくみこみ、サル腎由来の培養細胞COS7細胞に共発現させ_<14>C標識の各種アミノ酸のとりこみ実験をおこなった。この結果BAT1,rBATを共発現させた細胞ではどちらか単独あるいはコントロールのベクターのみを発現させた細胞にはみられないシスチンおよび塩基性アミノ酸のとりこみ活性が認められた。BAT1が腎尿細管に発現していることを免疫組織染色にて証明した。FISH解析によりBAT1のヒトゲノムにおける位置は家系解析によるnon TypeIシスチン尿症の遺伝子座と一致しておりBAT1がnon Type Iシスチン尿症の責任遺伝子である可能性が強く示唆された。次年度は患者解析をおこないBAT1がnon TypeIシスチン尿症の責任遺伝子であることを証明する。
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