研究概要 |
平滑筋細胞の形質変換、増殖を刺激する因子は多数知られており、形質変換によっても多数の分子がその発現を誘導される。その中でも収縮蛋白であるミオシン重鎖の発現は、平滑筋形質の変化を鋭敏に反映する。われわれは、ヒト前立腺肥大症と正常前立腺において平滑筋ミオシン重鎖アイソフォームの遺伝子発現を検索した。 その結果、肥大前立腺では合成型に移行しSMemb(胎児型ミオシン)の発現が増強していることを確認した。またSMembミオシンの転写因子であるbasic transcriptional element binding protein-2も肥大前立腺に発現していた。ヒト前立腺のprimary cultureを作成しSMembミオシンの発現パターンを検索し、平滑筋細胞がその形質を分化型細胞から脱分化型細胞へと変化させていることを確認した。前立腺のstromal cell cultureにSMembミオシンのanti-sense olignucleotideを導入することにより増殖抑制効果を確認した。 一方、m2 muscarinic acetylcholin receptorは平滑筋の増殖に関与していることが示唆されているが、ヒト前立腺のprimary cultureにおいてm2 receptor mRNAが強発現していることを分子生物学的手法を用いて研究し学術誌に発表した(Urol.Res.28:196-200,2000)。
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