研究概要 |
ヒト前立腺肥大症と正常前立腺において平滑筋ミオシン重鎖アイソフォームの遺伝子発現を検索し、肥大前立腺では合成型に移行した結果、SMembミオシンの発現が増強していることを確認した。ヒト前立腺のprimary cultureを作成しSMembミオシンの発現パターンを検索し、平滑筋細胞が増殖に伴い、その形質を分化型細胞から脱分化型細胞へと変化させていることを確認した。m2 muscarinic acetylcholin receptorが平滑筋の増殖に関与していることを示唆する所見を得、ヒト前立腺のprimary cultureにおいてm2 receptor mRNAが強発現していることをin situhybridization, Northern blotting等の分子生物学的手法を用いて確認した。前立腺のstromal cellscultureにSMembミオシンのanti-sense olignucleotideを導入することにより増殖抑制効果を確認した。Transforming Growth Factorの細胞内情報伝達系に関与するSmad7が間質細胞の増殖抑制に関わっていることを確認した。 前立腺肥大症に代表される下部尿路閉塞によりひきおこされる過活動膀胱にも注目し、ヒト膀胱平滑筋におけるmuscarinic acetylcholin receptorの脱感作に関与するG-protein coupled receptor kinaseの存在を明らかにし学術誌に発表した(Urol. Res. (in press). G-protein Coupled Receptor Kinase 2 and 3 Expression in Human Detrusor Cultured Smooth Muscle Cells. Obara K et al.)。
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